hisnd's blog

夢は海辺でぼんやり海を見ながら暮らすこと。

c'est la vie 4

あの日、私は、なぜだか夜中に目が覚めて

ベッドの脇の机に置いた

コップにはいった飲みかけの水を

カラカラの喉に流し込んで

何て美味しいんだ

なんて寝ぼけた頭で思いながら

しばらくベッドでぼぅっとしてた

泣きはらした目を

しっかりと開くのはだるくて

目をうっすら開きながら

体の奥にある悲しさのなかに沈んで行く気がしてた

私の人生は私のもので

逆に言えば

あの人の人生はあの人のもので

誰かがそこを侵すなんて

到底できっこない

冷静になればわかること

 

だけどあのときはそんなことわからなくて

ただただ現実がうまくいかないと嘆いていたっけ

c'est la vie 3

レストランについた。

外のテラス席に案内される。今日は快晴で風もなく本当に気持ち良い。

メニューを開く、私はクワトロフロマージュと決まっている。四種のチーズが載ったピザ、チーズ好きの私としては譲れない。すかさずクワトロフロマージュの欄を指差す。

This one!(これ!)

Hahaha.nice choice!Me too.(良いの選んだね。僕も。)

トマさんが笑う。同じものを頼むらしい。にこにこしながらこちらを見ている。

You like this?(これ好きなの?)

トマさんに聞く。

Yes,

またトマさんが笑う。

why?(なんで?)

私がまた聞く。

Well, coz your mother like this, too.(えっと、君のお母さんもすきだから。)

とトマさんが答えた。

Yeah, you're right.(あーそうだね。)

そうだ、私のチーズ好きは母譲りだ。母はトマさんについてなんにも話してくれなかったけど、母とトマさんは恋人同士だったんじゃないかな。なんとなくそう思えた。だってトマさんが時々、遠くを見るような目でいるから。旅行前に何度か見た母と同じように。

Why do you know my mother well?(どうしてそんなに母のことしってるの?)

You didn't hear about us?(僕たちのこと聞いてない?)

Yes.(うん)

Well,I will tell you later.(また後で話すわ)

少しだけトマさんが俯いて呟いた。

c'est la vie 2

コロッセウムまでトマさんの後ろをついて歩く。

とても不思議な気持ちになる。時差を抜きにすれば昨日の同じ時刻、つまり5月20日のお昼頃、私は神戸にある高校の食堂で友達の絵美里達とお喋りしていたのだ。それが、今は知らない初老の外国人を追いかけてローマはコロッセウムに向かってる。海外旅行自体2回目で一人旅に至っては初めてで、持ってきた貴重品の入った肩掛け鞄の肩紐を持つ手は手汗で湿って緊張を実感するけれど、同じ青空のはずなのに何か違う澄んだ感じのあるローマの青空の下で私はとてもワクワクしていた。

 

「あんな、私今日の夜から1週間、ローマに行くことななったから、その間のノート頼んで良い?もちろん、出来る範囲で良いし、お土産弾む!」

私は食堂の机で向かいに座る絵美里に向かって両手でお願いのポーズをした。

「へ、ローマ?てイタリアの?え、なにゆーとぉ?そんな冗談全然おもんないで笑。」

「ちゃうねん。がちやねん。ほら。」

私はパスポートと航空券を周りから見えないようにブレザーと手で隠しながらそっと見せる!

「え!ほんまなん!?めっちゃ羨ましい!!」

「ちょっ、声おおきいよ!これ秘密やねん。期末前にローマ1週間とかふざけとうやろ?そやから、私明日から風邪引くことになるから。月曜の期末から戻ってくる。」

「なにそれ。めっちゃかっこ良いんやけど、私もそんなん言いたいわ。ノートは任せといて!お土産はまた考えてLINEするわ!てかなんで急に?めっちゃ色々ききたいことあるねんけど!」

「んー、最近あれあったやん?その関係?お母さんがローマでどうしても会って欲しい人がいるらしくて。」

「あ、それはいかなあかんね。やし、その急な感じおばちゃんらしいよね。なんか映画みたい!笑」

「そんな良いもんかな。私一人で海外とかはじめてやから不安しかないわ。パスポートも忘れそうやから朝からずっと腹巻きの中いれてんねん。」

「うける!」

チャイムがなる。

「やば、次、重井さんやん!遅れたらやばいで!また話聞かせてよ!LINEする!」

高三になってからクラスが離れた私たちはそれぞれの教室に走る。

とりあえず、絵美里に休み中のノートお願いする件は、ミッションインコンプリート。

 

それからはあまり覚えていない。これからの行程を必死に反芻しながら上の空で授業を受け、ダッシュで家に帰り、空港行きのバスに飛び乗り、空港についてからは今まで使ったことのないコミュ中を発揮し人に搭乗口までの行き方を何度も確認し、やっと飛行機の座席で一息つく頃には必死すぎて緊張していたのだろうか爆睡してしまった。おかげで二回もあった機内食を食べれなかった上、楽しみにしていた映画もちゃんと見れなかった。

 

ぐぅ。

トマさんと会って緊張がとけたのか。

自分のお腹が猛烈に鳴り、日本を出てからまともに食べていないことに気付く。

 

トマさんが振り返る。この人いつも笑顔だ。口角が上がってる。

「お腹すいてる?」

「yes!」

出会ってから一番大きな声をだし、その必死さに恥ずかしくなる。

トマさんはまた思いきり目尻に皺を集めて笑う。この人の笑い方好きだなぁ。一瞬ボーッと見つめてしまう。

「~~大丈夫?」

英語は集中していないと聞き取れない。今トマさん大丈夫の前になんか言った!

「sorry、もう一度お願いします。」

「ははは、真依も食いしん坊なんだね。ほんと真弓と似てるね。ピザは好き?」

恥ずかしかったもののピザは大好物!

「yes!!」

とまたおおきな声で答える!

「c'est cool!」

たぶんフランス語でトマさんが答える。

私がトマさんについて知っていることは母の古いフランス語を話すベルギーに住む友人であることだけ。一体、トマさんは何者なんだろう。母とはただの友人だったのだろうか。

旅立つ前、母からパスポートと搭乗券を渡された時、母の目が一瞬潤んでいたような気がしたことを思い出す。

c'est la vie 1

約束の時間、約束の場所。

ローマの石畳を背の高い外人がこちらに向かって歩いてくる。

私の目の前で止まって、身をかがめて顔を覗きこむ。

「君は、、。まゆ?」

本当に来た!

彫りが深く薄茶色の瞳とは対照的に、自然な発音の日本語でそう聞かれた。

「えっ。いや、私は真依です。真弓は母の名前で。もしかして、トマさんですか。」

困ったような顔で英語で「ごめん。あんまり日本語わからないんだ。」と言われる。

私は英語で同じ内容を繰り返す。

「あぁ、そうだよね。まゆにとても似ていたから。驚いたよ。真依か。良い名前だね。」

「ありがとう。あのこれ、母からの手紙です。読んでください。」

私は日本で母から渡された手紙を渡す。

「ありがとう。」

トマさんは受け取った手紙を丁寧に封筒から取り出して手紙を読み始めた。便箋は二枚。あっ、笑った。目尻に皺が沢山はいる。よく笑う人なんだろうな。そんなことを思いながらボーッとトマさんをみていると、手紙を読み終えたらしいトマさんが便箋から目を離して言った。

「少し歩こうか。ここからコロッセウムまで歩いていけるんだ。」

「ok」

初対面の外国人と海外で一緒に過ごすことに不安はあったものの母の知り合いであること、優しそうな人であること、そして、旅先での開放的な気分が私をワクワクさせていた。

石造りの建物の間から綺麗な青空が見えた。

 

おしゃれで、格好つけてて、何が悪い? ビバ人生! そんな気持ちで見たい映画

最近、ヨーロッパ映画をよく好んで見ます。

なんでかっていうと、ハリウッドの大作にはない。創造させる余地が残ってる作品が多い気がするから。

 

ハリウッドの映画は、起承転結がはっきりしていて、作り手の意図がわかりやすい。だけど、ヨーロッパの映画は、そうではないものが多くあるように思います。そこに惹かれるんだと思う。

 

人間の頭はわかりやすいものよりも、わかりにくいものを負荷をかけて理解した方が幸福感を得られるんだとか。

 

そんな創造力に働きかけてきて、「さぁ、あなたならどう解釈する?」そう問われているような気にさせられる映画が好きです。だから、よく見るようになったのかも。

 

あと、ヨーロッパの人はわかりやすく人生を楽しもうとしてる。

そこが、とても羨ましく、惹かれるんだと思う。

 

あ”ー元カレのことひきずってるな!と書いてて思った笑

結局12月の終盤から予定通りベルギーに行くし、彼の家族にも会うんだけれども、少し不安な気持ち。

だけど、同時にいまだに大切にしてくれていることが伝わってくるメッセージを送ってくれて、やっぱり彼の家族も含めて好きだな、と思ってしまう。だが、しかし、復縁はきっと適わぬ現状。超遠距離を続けることがいかに難しいかは私自身もわかってるし。

 

映画でもみて、いろいろ考えるのやめとこ笑。あんまよくないし。

 

とにかく楽しむのだ。

 

これから見たい映画

 

地下鉄のザジ【フランス】

地下鉄のザジ【HDニューマスター版】 [DVD]

この素晴らしき世界【チェコ

この素晴らしき世界 [DVD]

 

ポンヌフの恋人【フランス】

 

 

"日常"が揺らぐ モロッコでのちぐはぐ 今生きている意味 石井光太さん

私たちは

毎朝

 

暖かいベッドの上

スマホのアラームで目覚めて

暖房をつけ

洗面台で顔と歯を洗い

朝御飯を食べながらテレビを見て

洗濯されアイロンされた洋服を身につけ

いそいで身支度を整え

職場や学校に向かう

 

そんな日常を送っている人が

大半だと思う

日本では。

 

石井光太さんの本を読んでいると

世界のどこかでは

それらの日常が

あり得ない日常となる場合が

あるのだと

知ることになる

 

暖かいベッド

スマホ

暖房

浄水された水

過不足ない食事

身につけている以外の洋服があること

学校や職場が生活の中にあること

 

この日常が世界を見渡せば

とても特別なものであることを気づかされる

 

私にもこんな経験があります。

私は旅行中、モロッコの駅で夜行列車を待つ間、

モロッコのタンジールという都市から別のモロッコのラバトという首都へ出張に発つ、モロッコで生まれモロッコで育ったという聡明な1つ歳上のキャリアウーマンに出会いました。

彼女はアラビア語、フランス語、英語が堪能で、話してるだけでも頭の回転が早く有能であることがわかるタイプでした。

私のバックパッカー然とした身なりをみてか、お弁当の美味しい手作りのサンドイッチとジュースをくれました。

余裕のある優しい人でした。

端々の優しさから、彼女は私より精神的にも物質的にも豊かな生活を送っているんだろうなぁ、何て憧れさえ抱くほどに。

電車が来るまで2時間ほどあったので彼女と沢山話しました。

私は日本からヨーロッパを経由してモロッコに来たことを伝えると、彼女は羨ましがり、物価の違い等から大きな会社で働いていてもなかなかモロッコの外に出るのは難しいということを教えてくれました。私は日本人が海外旅行するときに少しお金を貯めておかなくてはいけないような感覚だろう。大して深刻な話でもないだろう。と「へぇー。」とまの抜けたような反応を返していたと思います。

電車の到着時間になり、彼女と電車に乗り込もうとしたとき、バックパッカー姿でボロボロの私は一等席、スーツでキャリーバックを持った彼女は二等席でした。彼女と会う前に、安さと夜行列車であったことから安全面を考慮し買ったチケットでした。

ちぐはぐだと感じました。

私がモロッコに生まれ育っていたら、同じ状況で私は一等席のチケットを買えなかったのではなかろうか。ふとそう思いました。そんなことを考えてしまうことすら思い上がりであるように思いました。

生まれでた場所で決まるいくぶんかのことを初めて実感として感じた経験だったかもしれません。

それ以来、自分を情けなく思うこともありますが、ただ無力感を感じるのでは本当に無意味で、むしろ失礼であると感じるようになり、今この日常をどうしていくかにより意識を向けるようになったように思います。

私にとっては、まだまだ、何かできないか、なんて上から目線の思い上がりもいいとこだと思います。ただ、なんとかどこにいても恥ずかしくない人、自分の軸を持ち、相手に創造力を働かせることができる人になりたいと具体的な理想を持つようになりました。

 

 

たまに嫌になる日本での日常

けどあの人にとってみれば贅沢すぎる日常

怠惰に過ごしてはいないだろうか

日本のぬるま湯で贅沢な日常に甘えている自分が恥ずかしくなる

この日常を与えてもらったことには何か意味があるのか

自分が今ここで生きている意味

色んなことを感じさせてくれる本

 

おすすめです。

Kindleで100円台で読めるものもあるので是非。

 

写真増補版 神の棄てた裸体?バングラデシュ編?

写真増補版 神の棄てた裸体?バングラデシュ編?